自助論 全エピソードまとめ

自らを律し、成功を勝ち取ってきたサッカー日本代表の本田圭佑選手。彼の愛読書であるサミュエル・スマイルズの自助論の全エピソードを掲載しています。

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自分を方向づける「意志の力」

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●心から真剣に求めつづけていればすべては可能となる

意志の力さえあれば、人は自分の決めた通りの目標を果たし、自分がかくありたいと思った通りの人間になることができる。ある聖者は口ぐせのようにこう語っていた。

「あなたは、望めばどんなものにでもなれる。われわれの意志の力が神の力と結びつくなら、その効果はきわめて大きい。心から真剣に求めつづけていれば、すべては可能となる。だが、謙譲や忍耐、節度や寛大さを身につけたいと強く願わない限りは、何を望んでもかなえられはしないだろう」

ある大工について、こんな話が伝えられている。ある日のこと、彼は知事が腰かける椅子の修理を命じられ、カンナをかけていた。だが、その仕事ぶりがバカていねいすぎるため、かたわらで見ていた人が理由をたずねた。すると大工はこう答えた。

「実をいうと、私がこの椅子に腰かける日のために、少しでも座り心地をよくしておこうと思ったまでなんですよ」

しかも不思議なことに、彼はその後、実際に知事となり、その椅子に腰をおろしたという。

論理学者は、意志の力についてあれこれと、さも理論的に結論づける。しかしながら、われわれはみな「善悪の選択は、その人間の自由にまかされている」と感じているはずだ。つまり、人間とは水面に投げ出されて流れのままに漂う麦ワラなどではなく、むしろ立派に泳ぐ力を備え、波にさからって自分のめざす方向へ十分進んでいけるものだと考えているにちがいない。

それはまさしくその通りで、われわれの自発的な意志に絶対的な拘束を加えるものなど、この世には存在しないのだ。

さらにわれわれは、自分の行動が魔法の呪文などによって縛られるはずがないことも十分に承知している。そうでなければ、他に抜きん出たいなどという願望はすべて一片の呪文で麻痺させられてしまうだろう。

 - 5章 - 意志と活力