自助論 全エピソードまとめ

自らを律し、成功を勝ち取ってきたサッカー日本代表の本田圭佑選手。彼の愛読書であるサミュエル・スマイルズの自助論の全エピソードを掲載しています。

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失敗する人ほど他人や社会のせいにする

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不幸者と愚者は隣り合わせに住んでいる

人生につまずいた人間は、往々にして自らを罪なき被害者と見なし、自分の不幸はすべて他人のせいだと早合点する。

たとえば、ある高名な作家は著書の中で、自分がこれまで数多くの事業に失敗したことにふれている。ところが彼はその理由として、自分が損得勘定にまったく無知だった点を率直に認めながらも、結局は挫折の真の原因を当時の金もうけ至上主義の風潮に転嫁しているのだ。

なかには、自分が不幸な星回りに生まれたのだと考える人間もいる。彼らは、自分には落ち度がないのに世間が常にこちらの思惑とは逆方向に動いているのだ、と信じこんでいる。こうした手合いのなかには、「自分が帽子屋になったとしても、その時は世の中の人間がみな頭なしで生まれてくるだろうから、どのみち成功するわけがない」などとあきらめ顔に語る連中もいる。

だが、ロシアのことわざによると、「不幸者と愚者は隣り合わせに住んでいる」そうだ。いつも自分の不幸を嘆いている連中の多くは、自らの怠惰や不始末、無分別、そして努力不足のしっぺ返しを受けているにすぎない。

●失敗する人ほど他人や社会のせいにする

ジョンソン博士がロンドンに上京したとき、懐中にはわずかにギニー貨一枚しかなかったという。ある貴族に宛てた手紙にも自分の本名の代わりに「食うに事欠く人間」と署名しているくらいだ。だが彼は、次のようにはっきりと指摘している。

世間にあれこれ不平不満をぶちまけるのは、絶対にまちがっている。どこか長所のある人間なら、いつまでも無視されつづけるわけがない。成功をつかまえ損なうのは、たいていはその本人が悪いからだ

アメリカの作家ワシントン・アービングも、ジョンソン博士と同じような考えを持ち、次のように語っている。

「人間は一つや二つ長所があったところで誰からも相手にされない、などと聞いたふうな理屈をこねる連中がいるが、それはまったくのウソっぱちだ。だいたいそんな連中は、自分の怠けぐせや優柔不断な態度を棚に上げて、成功できないことを世の中のせいにしたがるのだ。もちろん人間の長所といっても千差万別で、その多くは中途半端で不徹底なしろものだ。だが、ほんとうに鍛えられたすぐれた長所を持ち、それをいかんなく発揮する人間なら、世間が見逃すわけがない。ただし、どんなに長所があっても、家の中に閉じこもってチャンスの到来をただ待ちわびているだけではお話にならない。

″押しが強く厚かましい人間は成功するが、オ能はあっても内気な人間はふりむきもされない″などという説もよく耳にする。だが、これもべらぼうな話だ。押しの強い人間には、機敏に行動できるという貴重な資質が備わっている。これがなければ、いかにすぐれた長所を身につけていても宝の持ちぐされにすぎない。往々にして、吠える大のほうが眠っているライオンよりは役に立つ場合が多いものなのだ」

 - 6章 - 時間の知恵