自助論 全エピソードまとめ

自らを律し、成功を勝ち取ってきたサッカー日本代表の本田圭佑選手。彼の愛読書であるサミュエル・スマイルズの自助論の全エピソードを掲載しています。

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どんな小さな穴からでも日の光が差しこむように

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ものごとのよい面を見る人間は年収1000ポンドの金持ちよりも価値がある

われわれは、幸福でさえ習慣として身につけられる。世の中には、ものごとの明るい面を見ようとする性格の人もいれば、暗い面ばかりに目を向ける人もいる。ジョンソンによれば、ものごとのよい面を見る人間は年収1000ポンドの金持ちよりも価値があるそうだ。

人間は、幸福と進歩を生み出すものに考えを向けるだけの意志力を持っている。反対に、不幸や退廃からは目をそむける力もあるはずだ。他の習慣と同じように、ものごとを楽天的に考える習慣もこの意志力から生まれてくる。楽天性を育て上げる教育は、知識や素養をめいっぱい詰めこむよりはるかに重要な教育といえるだろう。

どんな小さな穴からでも日の光が差しこむように、ほんのささいなことがらからでも人それぞれの人柄がはっきりと見てとれる。実際、人格の優劣というのは、ちょっとした行ないが立派にできたかどうかにかかっている。日々の生活とは、ちょうど石切場のようなものだ。そこからわれわれは習慣の土台石を切り出し、それを仕上げていくのである。

他人に接する態度を見れば、その人の人格の優劣が手に取るようにわかる。地位の上下を問わず誰にでも節度を失わず接している人を見るのは、実に気持ちがよい。十分な尊敬の念を持って人に対すれば、相手の心を愉快にさせるのはもちろん、当の本人にも大きな喜びが湧いてくるだろう。

このような立派なマナーは、自分で工夫すればいくらでも身につけられる。たとえ財布に一ペニーの持ち合わせすらなくても、その気があれば礼儀正しく親切な人間になれるのだ。

人に対する思いやりは、万物に生気を与える日光のように無言の影響力を持っている。大声を張り上げたり力ずくでゴリ押ししたりするより、やさしい態度で接するほうが効果は大きい。小さなスイセンも春になれば土を押しのけて芽を吹くが、それは花を咲かせようとするスイセンの無言の意志の表われである。思いやりの心もこのスイセンに似て、静かにねばり強く、周囲の人たちの胸に浸みこんでいく。

 - 10章 - 信頼される人 - 人格は一生通用する最高の宝だ!