自助論 全エピソードまとめ

自らを律し、成功を勝ち取ってきたサッカー日本代表の本田圭佑選手。彼の愛読書であるサミュエル・スマイルズの自助論の全エピソードを掲載しています。

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ビジネスを成功させる六つの原則⑤

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●時間にルーズな人は成功のバスに乗り遅れる

時間の価値が正しく理解できれば、時間厳守の習慣も自然に身についていく。

ルイ十四世は「時間厳守は国王としての礼儀だ」と語ったが、それは同時にわれわれの義務でありビジネスに携わる人間にとっての必須条件でもある。この美徳を守れば、誰よりも早く信用を勝ち得ることができ、逆にこの美徳が欠けていれば、たちどころに信用は失墜する。

他人との約束を守り、待ち合わせの時刻に遅れない人間は、自分の時間だけでなく相手の時間をも尊重しているのである。したがって誰かと仕事で会う場合にも、その人物が時間に厳格かルーズかを見れば、彼が尊敬に値するかどうかがわかる。

時間厳守はまた、人間の良心の問題でもある。約束というのは、それがはっきり決めたものであれ暗黙の了解であれ、一つの契約に他ならない。約束を守れない人間は、相手の時間を不当に浪費するばかりでなく、誠意にそむく背信行為を犯しているに等しい。そんな人間は必ずや世間の評判を落とすだろう。

こう考えてくると、当然のごとく一つの結論に達する。つまり、時間に無頓着な人間はビジネスにも無頓着であり、そんな人間に重要問題の処理を信用してまかせることはできないのである。ワシントン大統領は、秘書の一人が遅刻の理由を時計が狂っていたせいにした時、こう答えたという。

「それなら、ただちに新しい時計に代えるべきだ。さもなければ、私のほうで秘書を新しい人間に代えなくてはいけなくなるからね」

時間を無視し、その使い方を全く考えていない人間は、他人の平和で静かな生活までかき乱しがちである。チェスタフィールドは、ニューキャッスルのある老公爵についてこんな冗談をいっている。

あの閣下ときたら、朝の一時間を必ずムダに過ごしては、残りの一日中その分を取り戻そうと家中に騒ぎをまき散らしているのだ

実際、時間を守らない連中と付き合うと、誰でも気分を損ねてしまう。なにしろ彼らときたら、遅刻にかけては常習犯で不規則な暮らしが当たり前になっているのだから、始末に負えない。約束の時間には遅れて到着する。汽車が出てからようやく駅にやってくる。郵便収集人が回った後に手紙をポストに入れる――。かくして仕事は混乱し、関係者はみな怒りを爆発させるというわけだ。

このように時間に遅れる人間は、当然ながら成功にも乗り遅れるにちがいない。そして世間からはつまはじきにされ、運命の神に不平やグチをぶっつけはじめる。われわれの周囲にも、残念ながらそんな連中はずいぶん大勢いるのである。

 - 6章 - 時間の知恵