ビジネスを成功させる六つの原則①
●ビジネスを成功させる6つの原則
どんなビジネスにも、それを効率よく運営するのに欠かせない原則が六つある。それは、注意力、勤勉、正確さ、手際のよさ、時間厳守、そして迅速さである。
この六つの原則は、一見つまらないことのようにも思えるが実際は、人間が世の役に立ち幸福や繁栄を得るにはきわめて大切な意味を持っている。この六点は、確かにささいなことがらだが、人間の生活は元来、比較的ささいなことがらから成り立っているものなのだ。ちょっとした行動のくりかえしによって人間の全人格は形成され、国家の性格も決定される。堕落した人間や衰退した国家には、必ずといってよいほど、ささいなことがらを無視してきた形跡が認められる。
人は誰でも、それぞれに義務がある。したがって、その義務を実行するための能力をみがく必要がある。家計のやりくりにせよ、ビジネスや学問研究にせよ、また一国の政治にせよ、それはみな同じなのだ。
●注意力、勤勉、正確さ
われわれはこれまで、産業や芸術、学問の分野で偉大な仕事を成し遂げた人たちの例を数多く見てきた。だから、いかなる職業でもねばり強さと勤勉が重要だという点については、もはや多言を要しないだろう。日々の経験が教えてくれるように、ささいなことがらに不断の注意を払うことは人間の進歩の前提だ。そして努力は、幸運を生み出す母親とも呼べるものである。
正確さも大切な点である。その人間が十分に修養や訓練を積んできたかどうかを判断する決め手ともなる。ものごとを観察したり、人前で話をしたり、事務を処理したりする際には、正確さが何よりも肝心だ。ビジネスにおいては、与えられた責任を立派に果たすことが求められる。わずかな仕事でも完璧にやってのけるほうが、その十倍の仕事を中途半端にすませるよりはるかにましだ。
ある賢人はいつもこう語っていた。
「仕事を少しでも早く仕上げたいなら、少しは休むほうがよい」
しかしながら現実には、正確さという非常に重要な資質に対してはほとんど注意が払われていない。
さる著名な科学者は、「驚くことに、ものごとを正確に見定められる人間にはいままでほとんどお目にかかった経験がない」と語ったそうだ。
ビジネスでは、ささいなことがらをどう処理するかで、その人の立場や力量が計られてしまう。たとえ人徳に厚く他の面では立派にふるまっていても、ものごとを正確に処理で28時間の知恵――「実務能力」のない人に成功はないきなければ信頼は得られない。そんな人にやらせた仕事は、再度点検しなければならない。だが、それはこの上もなく面倒で骨の折れる作業だ。だからそういう人間は、しだいに他人から相手にされなくなってしまうだろう。