自助論 全エピソードまとめ

自らを律し、成功を勝ち取ってきたサッカー日本代表の本田圭佑選手。彼の愛読書であるサミュエル・スマイルズの自助論の全エピソードを掲載しています。

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「克己心」を植えつける法

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●継続する勤勉と忍耐の成果とは

彫刻家ジョン・フラックスマンは、ロンドンのコベント・ガーデンで石膏像を扱う小商人の家に生まれた。

幼少のころは病弱で、店のカウンターの陰にクッションを背にして座り、絵を描いたり本を読んだりするのを楽しみとしていた。

ある日フラックスマンは、牧師マシューズの詩とセルバンテスの『ドン・キホーテ』を読むように勧められた。彼は、特にホメロスの作品全編に息づく英雄主義に魅了され、アイアスやアキレスなどの英雄像を作ろうと思い立った。

ところが、若さにまかせた努力というのはどれも似たりよったりだが、彼の最初の作品もおよそ粗末な出来だった。だが息子の作品を誇りに思った父親が、そのうちの数点を彫刻家ルービャックに見せたところ、その高名な彫刻家は「ふふん」と鼻を鳴らしただけで顔をそむけてしまったという。

だがフラックスマン少年は、芸術家にふさわしい資質を備えていた ― すなわち、勤勉と忍耐とを。

彼はめげることなく読書を続け、絵や彫像の制作に励んだ。彼の初期の作品のいくつかは現在も保存されているが、それは作品がすばらしいいからではなく、一天才の当時のねばり強い努力の跡がそこにいかんなく表現されているためだ。

彼がひとり立ちできるまでには長い時間がかかった。しかも初めは、松葉杖を頼りのヨチヨチ歩きだった。だがしまいには、杖の助けを借りずに歩けるほど彼はたくましく成長するのである。

 - 4章 - 仕事