自助論 全エピソードまとめ

自らを律し、成功を勝ち取ってきたサッカー日本代表の本田圭佑選手。彼の愛読書であるサミュエル・スマイルズの自助論の全エピソードを掲載しています。

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「行動でも思考でも反復こそが力である」

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●人間においては習慣がすべてだ。美徳でさえも習慣にすぎない

よい習慣を培えば、人格も立派にみがき上げられる。

古くからいわれるように、人間は習慣の寄せ木細工であり、習慣は第二の天性なのだ。「行動でも思考でも反復こそが力である」と確信していた詩人メタスターシオは、「人間においては習慣がすべてだ。美徳でさえも習慣にすぎない」とまで断言した。

宗教家バトラーは「注意深く自己修養に努め、誘惑はきっぱり拒むべきだ」と強く主張した。また、「このような美徳を習慣として身につけていくうちに、立派な人間性を難なく獲得し、罪を犯さなくてもすむようになる」とも述べている。「肉体の習慣が行動によって作られるように、精神の習慣も従順や誠実、正義や慈善のようなモラルを実践することで得られる」というのがバトラーの意見なのだ。

ロシアの一作家は、「習慣は真珠の首飾りだ。結び目をほどけば、真珠はことごとく糸から抜け落ちてしまう」と語った。これは習慣の本質をみごとにいい当てた比喩である。人間は若いうちに修練を積んで、正しい習慣をみっちりたたきこむ必要がある。実際、習慣は若いうちほど身につきやすく、一度身についたら終生失われはしない。ちょうど木の幹に刻まれた文字のように、時代を経るにつれて大きくなっていくのだ。

「進むべき道は子供のうちに定めて鍛え上げよ。そうすれば、大きくなっても横道にはそれない」という言葉がある。ものごとの始まりは、すでにその中に結末をも含んでいるが、人生という旅においても第一歩を踏み出せば、その方向と目的地はおのずと決まるのだ。

海軍将校コリングウッドはお気に入りの若者に、「二十五歳までに人格をみがき上げなさい。そうすれば、あとは順調に進むだろう」と諭している。

習慣は年と共にこり固まり、それが人間の性格を形づくる。習慣を変えるのは大人になればなるほど困難だ。新しいことを覚えるよりは、いったん覚えたことを忘れるほうがはるかに難しい。あるフルート奏者は、以前二流の先生についていた生徒からは三倍の授業料をもらっていたというが、それもうなずける話である。

古い習慣を根だやしにするのは、歯を抜くよりはるかに厄介で、しかもいっそうの苦痛を伴う場合が多い。リンチが述べているように、「立派な習慣を身につけるよう気をくばるのが、いちばん賢明な習慣」なのである。

 - 10章 - 信頼される人 - 人格は一生通用する最高の宝だ!