自助論 全エピソードまとめ

自らを律し、成功を勝ち取ってきたサッカー日本代表の本田圭佑選手。彼の愛読書であるサミュエル・スマイルズの自助論の全エピソードを掲載しています。

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人格者との付き合いは万冊の書にまさる

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●「彼の高貴な人柄と接していると、いくぶんか自分も気高くなったように思えるのです。」

若者は常によき友を探し求め、自らをいっそう高めようと努力すべきだ。政治学者フランシス・ホーナーは、志の高く聡明な人たちと直接個人的な交わりを持つことが自分にどれほど有意義だったかを、次のように語っている。

「はっきり申し上げて、これまで通読した書物を全部合わせたより、あの人たちとの交際のほうが知性を向上させてくれました」

政治家シェルバーンは若い時分、フランスの高名な政治家マルゼルブのもとを訪れ、深く心を動かされた。後にシェルバーンはこう述べている。

私もずいぶんあちこち旅行はしたが、あのときほど人との出会いに感銘を受けたためしはない。今後何か世のため人のためにつくせるとすれば、それはきっとマルゼルブ氏の思い出が私の魂を励ましてくれるからにちがいない」

前にも述べたように慈善事業家ファウエル・バクストンの若き日の人格形成には、ガーニー家の人々が並々ならぬ影響を与えた。彼はつねづね「ガーニー家の人々は、私の生活に生気を吹きこんでくれた」と語っていた。彼はダブリン大学を優秀な成績で卒業したが、それも「ガーニー家に出入りしていたおかげです。あの人たちの自己修養の心が私にも″感染″したのです」と率直に認めている。

よき友と付き合えば必ずよい感化を受ける。野辺を行く旅人の衣に草花の香りがしみつくように、よい交際はすばらしい恩恵を手みやげに与えてくれる。

作家ジョン・スターリングが、友人にどれほど有益な感化を与えてきたかは、いまでも語り草となっている。彼のおかげで大勢の人が、自分がもっとすぐれた存在であることに気づかされた。自分が何であり、何をなすべきかを、彼から学んだのである。宗教家トレンチは、スターリングについてこう回想している。

彼の高貴な人柄と接していると、いくぶんか自分も気高くなったように思えるのです。彼と別れたあとはいつも、住教慣れた世界からもつと高い目標のある世界へと自分の心が引き上げられたように感じました

すぐれた人格者は、このようにいつも周囲の人間に働きかける。われわれは彼の力によって無意識のうちに高められ、ものの感じ方や見方も彼に似通ってくる。精神相互の作用と反作用は、かくも大きな力を発揮するのだ。

 - 9章 - 素晴らしい出会い - 人生の師・人生の友・人生の書