自助論 全エピソードまとめ

自らを律し、成功を勝ち取ってきたサッカー日本代表の本田圭佑選手。彼の愛読書であるサミュエル・スマイルズの自助論の全エピソードを掲載しています。

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常識に明るく、辛抱強い人間になる

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●幸運は常に勤勉な人間の肩を持つ

幸運の女神には人を見分ける力がない ― このような非難をしばしば耳にする。だが実際には、幸運の女神はわれわれ人間ほど盲目ではない。現実の人生を見ればわかるだろう。腕のよい航海士にはいつも風や波が味方するのと同じように、幸運も常に勤勉な人間の肩を持つのである。

どんなに高尚な学問を追究する際にも、常識や集中力、勤勉、忍耐のような平凡な資質がいちばん役に立つ。そこには天賦の才など必要とされないかもしれない。たとえ天才であろうと、このような当たり前の資質を決して軽んじたりはしない。

世に偉人と称される人間は、天賦の才などほとんど信じてはいない。むしろ彼らは、並の才能にもかかわらず成功を収めた人間と同じように、世間的な常識に明るく、辛抱強さをも備えている。

ある人は「天才とは常識の権化である」と定義づけた。また、ある大学の高名な学長は奮励努力しようとする意欲のことを天才と呼んでいる。さらに、随筆家ジョン・フォスターによれば「天才とは人間の内なる情熱の炎を燃え立たせる力である」という。フランスの博物学者ビュフォンにいたっては「天才とは忍耐なり」とまでいい切った。

●「天才とは忍耐なり」

ニュートンは、疑いもなく最高の英知を備えた人間であった。彼は多くの輝かしい発見を成し遂げてきたが、その秘訣をたずねられたとき「いつもその問題を考えつづけていたからだ」と、こともなげに答えたという。また、別の機会にニュートンは、自分の研究方法について次のように語っている。

「私は、研究中のテーマを常に自分の眼の前に広げてじっと見守る。そうすると、闇に一条の光が差してしだいに夜が明けていくように、問題の本質がくっきりと浮かび上がってくるのだ」

このように、研究への没頭と根気強さのおかげで、ニュートンは大学者の名声を勝ち得たのである。彼は、イギリスの古典学者ベントリーにこう語ったことがある。

「私が社会のために何か貢献できたのだとすれば、それはすべて研究に努め忍耐強く思索を続けてきたおかげなのです」

ニュートンと並び称される天文学者ケプラーも、研究の進歩に関してニュートンと同じような話をしている。

「ある一つのことだけを集中して考えていると、それがきっかけとなってさらに深いところまで考えが及んでくる。そして最後には、懸案の問題に全身全霊をあげて取り組めるようになるものだ」

 - 2章 - 忍耐 努力が苦でなくなる法