自助論 全エピソードまとめ

自らを律し、成功を勝ち取ってきたサッカー日本代表の本田圭佑選手。彼の愛読書であるサミュエル・スマイルズの自助論の全エピソードを掲載しています。

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観察力の優劣は、人間に大きな差をつける

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●賢者の目は頭の中にある

観察力の優劣は、人間に大きな差をつける。ロシアのことわざにあるように、注意力の散漫な人間は「森を歩いても薪(たきぎ)を見つけられない」のである。古代イスラエルの賢王ソロモンは「賢者の目は頭の中にあり、愚者は暗闇を歩く」と語っている。

またサミュエル・ジョンソンは、イタリアから帰国したばかりの紳士に向かってこう述べたことがある。

「私の住んでいるハムステッド界隈(ロンドンの一部にある街。芸術家が多く住む)の住人の中にも、ヨーロッパ旅行に興じている人より博学な人間はけっこういるものですよ」

要するに、心は目と同じくらい立派に物事を見通せるのである。思慮の浅い人間には何も見えなくても、聡明な洞察力を身につけたに人間は目の前の物事に深く立ち入り、その奥に横たわる真理にまで到達できる。

ガリレオ・ガリレイ以前にも、ひもの先につるしたオモリが規則正しく揺れるのを目撃した人間は大勢いる。だが、ピサの大聖堂の番人が、天井からつるされたランプの掃除を終え、ランプが揺れているのをそのままにして立ち去った。当時十八歳の若者だったガリレオは、このランプの揺れを注意深く観察し、それを時間の計測に役立てられないものかと考えはじめた。そしてその後五十年にわたる研究と努力の末、彼はようやく振り子の実用化に成功する。彼の発明は、大いにわれわれの生活や物理学に貢献した。

また、ガリレオは偶然、オランダのメガネ職人が遠くのものでも近くに見えるよう工夫した道具をつくり、それをナッソー家のモーリス伯爵に寄贈したという話を小耳にはさんだ。彼はその道具の仕組みを考え、ついには望遠鏡を発明する。それによって近代の天文学も、その第一歩を踏み出すことになった。

もしも、ガリレオが身を入れてものごとを観察できず、他人の話を受身の姿勢で聞いてばかりいる人間だったら、このような発明など絶対不可能だったにちがいない。

 - 3章 - 人生の転機を生かす力