自助論 全エピソードまとめ

自らを律し、成功を勝ち取ってきたサッカー日本代表の本田圭佑選手。彼の愛読書であるサミュエル・スマイルズの自助論の全エピソードを掲載しています。

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“何も生まない生活”と訣別する

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●初めの一歩が肝心

かつて、フランスの宗教家ラムネは、放埓(ほうらつ)な生活を送っている一人の若者にこう言った。

「君はいま、自分の生き方を自分で決める時期にさしかかっている。この機を逃すと、君は自分で掘った墓に放りこまれて上にのせられた石を押しのけることもできず、終生苦しみにうめきつづけるハメになるかもしれない。意志を持って生きるというのは、われわれにはいちばん身につけやすい習慣だ。だから、強く確固たる意志を持つよう努力しなさい。根なし草のような生活はこれくらいにして、地に足をつけて歩きなさい。枯葉のように風まかせにここかしことさまよう生活は、きっぱりと捨て去るのです。」

慈善家のバクストンも、決意を固め、それを守り通そうとする者なら願望の大部分は成就できると確信していた。彼は、息子の一人に宛てて次のような手紙を書いている。

「おまえもそろそろ、右に行くのか左に行くのかを決めるべき年齢に達している。だから、自分の主義主張や決断力、そして精神力がどれほど強いものかを身をもって証明してみるがいい。さもなければ、おまえは怠惰に流され、漫然と暮らす無能な青年の悪習に染まってしまうにちがいない。ひとたびそんな境遇に身を落とせば、そこからはい上がるのは容易なわざではない。若者なら、自分の望みの大部分は成就できるはずだ。私の場合もそうだった・・・・・。ちょうどおまえくらいの年に私は自分の生活を一変させたが、現在の幸福と繁栄は、それによってもたらされたといってよい。おまえも、活力にあふれた勤勉な生き方をめざすよう決意を固めるのだ。いま決意して一歩を踏み出せば、おまえはそんな自分の賢明さに一生感謝しつづけていくだろう」

人間の意志というものは、方向などおかまいなくしゃにむに突き進んでいこうとする。したがって、意志に正しい目標を与え、適切な方向に舵をとるようにするのが肝心だ。

肉欲や快楽の追求に向けられた意志はたちまち悪魔の本性を現わし、知性はその卑しい奴隷となるだろう。

だが逆に、善の追求に向けられた意志は名君と同じである。そこでは、知性が人間に最高の繁栄をもたらす家臣となるにちがいない。

 - 5章 - 意志と活力