自助論 全エピソードまとめ

自らを律し、成功を勝ち取ってきたサッカー日本代表の本田圭佑選手。彼の愛読書であるサミュエル・スマイルズの自助論の全エピソードを掲載しています。

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人生の指標となる「ものいわぬ無数の手本」

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●人生経験の中から学ぶ 学びの種はたくさんある!

手本とは、無言でわれわれを教え導く名教師だ。ことわざや格言も、確かにわれわれの進むべき道を示してはくれる。だが実際に人間を導くのは、ものいわぬ無数の手本であり、生活をとりまく現実の模範なのだ。

よい忠告にはそれなりの重みがあるが、よい手本が伴わなければ結局のところあまり効果はない。世間では「私のいう通りにせよ。私のやることを真似しなくてもよい」などというのが普通だが、実際の人生経験ではむしろ言葉より行動が重視される。

人は誰でも、多かれ少なかれ、耳より目を通してものごとを学ぶ。現実に見たものは、それがどんなにささいなものであっても、単に読んだり聞いたりしたものよりはるかに印象が深い。

とくに幼少時代にはこの傾向が強く、「目は知識の専用の人口だ」といっても過言ではない。子供は、見たことを何でも無意識に模倣する。昆虫の体が、常食にしている草の色に似るように、子供もいつの間にか周囲の人間と似かよってくる。

家庭教育が重要だといわれるゆえんはそこにある。いくら学校教育が有益だとしても、家庭で示される手本のほうが子供の性格形成にははるかに大きな影響を与える。家庭は社会の結晶であり、国民性の核を成している。

われわれの公私の生活を支配する習慣や信条、主義主張は、それが清いものであれ汚れたものであれ、家庭の中で培われる。国家は子供部屋から生まれる。世論の大部分は家庭から育っていく。そして最高の人間愛も、家々の炉端ではぐくまれるのだ。

「社会の中でわれわれが属している最小単位、すなわち家族を愛することが社会全体を愛するための第一歩である」と、政治思想家バークは語っている。

思いやりの心は、小さな家族愛から出発してしだいに広がり、やがては世界全体を包みこんでいく。

 - 9章 - 素晴らしい出会い - 人生の師・人生の友・人生の書