自助論 全エピソードまとめ

自らを律し、成功を勝ち取ってきたサッカー日本代表の本田圭佑選手。彼の愛読書であるサミュエル・スマイルズの自助論の全エピソードを掲載しています。

*

常に快活さを失わず、ものごとの明るい面ばかりを見ていたい。いくら年収一万ポンドの大地主になっても、憂うつな気持ちで暮らすのはまっぴらだ。

LINEで送る
Pocket

●快活さは人間の精神に弾力性を与える

快活さを失わず仕事に打ちこんだ人の話は、有意義であり影響力も大きい。

快活さは、人間の精神に弾力性を与える。元気で働いていれば恐怖心は消え去り、どんな困難に直面してもヤケを起こしたりしない。それは希望が心の支えになるためで、希望に満ちた精神は成功のチャンスを決して逃しはしないのだ。

希望に燃えている人の心は、健全で幸福そのものである。自分が快活に仕事に励むと同時に、他人の意欲をもかき立てる。

熱意をこめて働けば、どんなに平凡な職業でも尊敬に値するものになる。自信の持ちようで仕事の出来栄えは違ってくる。心から喜んで働けば、それが手仕事であれ精神労働であれ、有意義な結果を生まずにはおかない。

哲学者ヒュームは、「常に快活さを失わず、ものごとの明るい面ばかりを見ていたい。いくら年収一万ポンドの大地主になっても、憂うつな気持ちで暮らすのはまっぴらだ」と口ぐせのように語っていた。

教育者アーノルドは快活で立派な精神の持ち主だった。彼は、全身全霊をかけて青少年の教育という偉大な事業に取り組んだ。彼の生涯はすぐれた伝記にまとめられているが、その中には次のような一節がある。

「アーノルドの学校では、驚くほど健全な雰囲気が校舎のすみずみにまで行き渡っていた。新入生でさえすぐ気づくほど熱心な教育が続けられていたのである。生徒一人一人にはそれぞれの役割が与えられている。その役割をうまく呆たすのは生徒の義務であり、同時に幸福でもある。そのことは、生徒自身がよく承知していた。

少年はみな、人生に対していいしれぬ興味を抱いている。社会に役立つ人間、幸福な人間になるにはどうしたらいいのか? そしてその解答が見つかると、彼らの胸はかつてないほどの喜びで満たされる。少年はやがて、人生や人間の価値を教え自らの進むべき道を示してくれた恩師に対して、深い尊敬と愛情の念を抱くようになる。

このような教育ができたのは、アーノルドの人柄の広さと深い洞察力のおかげだ。彼はこの世の真実を知りつくした教育者だった。仕事に貴賤を認めず、社会の進歩や個人の発達には仕事が何より大切だという事実を肌で感じていた。この認識こそ彼の教育観の上台を形づくったといえよう。

アーノルドは、自分の計画を淡々と実行に移した。生徒に与える役割にも差別を設けず、片寄った日標に熱中することもなかった。

彼はただ、仕事こそが人間の生きがいであり、今能力をそこに傾注すれば人格は向上し進歩も勝ち取れる、と謙虚に信じていたのである」

アーノルドの学校からは多くの貴重な人材が輩出した。その一人、軍人のホドソンは、赴任地のインドから本国の家族に送った手紙の中で、敬愛すべき恩師についてこう語っている。

「アーノルド先生から受けた影響は、とても消し去れないほど強いものです。遠いインドの地にあっても、先生の教えは生きつづけています」

このように誠実で活力に満ちた努力家の生き方は、周囲の人間、ひいては一国の将来に対しても、まちがいなく有益な影響を与えていくのである。

 - 9章 - 素晴らしい出会い - 人生の師・人生の友・人生の書