自助論 全エピソードまとめ

自らを律し、成功を勝ち取ってきたサッカー日本代表の本田圭佑選手。彼の愛読書であるサミュエル・スマイルズの自助論の全エピソードを掲載しています。

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道がなければ道を造る

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●成功に必要なのは秀でた才能ではなく、努力と決意だ

「わしは神も悪魔も信じない。自らの肉体と魂の力にのみ全幅の信頼を置く」

これは、古代スカンジナビアの一古老が語ったと伝えられる有名な言葉だ。古代スカンジナビア人の紋章はツルハシで、そこには「われは道を探す。満ちなくば道をつくる」との語句が刻まれている。これも先の古老の言と同様に独立不羈の心の表現であり、その特質は今もなお彼らの子孫に受け継がれている。

スカンジナビアの神話のいちばんの特徴は、ハンマーを手にした神が登場することである。実際、ハンマーを扱うことのようなささいな動き一つを見ても、その人間の性格を読み取り、彼が持っている心身の力を推しはかることができるのだ。

ある著名なフランス人は、友人が一地方の地所を買ってそこへ移り住もうとしたとき、その土地の住民の気性を一言でずばりといい当てた。

「あの土地を買うのは要注意というものさ。あそこの出身者なら知っているんだ。パリに出てきて私の獣医学校に通っている者もいるが、まあ連中ときたら鉄床(かなとこ)一つ満足にたたけないのさ。つまり体力も気力も欠けているんだ。そんな人間の住む土地にいくら投資したところで、ろくな見返りなど望めないだろうよ」と語った。

このように適切な性格描写は、ものごとを思慮深く観察する人間にしかできない。

しかもこの言葉からは「国家に力を与え、耕している土地に価値を与えるのは、そこに住む個々人の体力や気力に他ならない」という心理がはっきりと読み取れる。つまりフランスのことわざにもある通り、「土地の価値は、そこに住む人間の価値によって決まる」のである。

活力を高め充実させることは非常に重要だ。価値ある目標を追求しようとする決意は、人間のあらゆるすぐれた特性の土台を成している。誰しも活力さえあれば、単調な骨折り仕事や無味乾燥な身辺の雑事に埋もれることなく日々向上し前進していける。活力に満ちた人間は、失望したり危険を冒したりすることなく凡人には真似のできない大事業を成し遂げる。

どんな分野であれ、成功に必要なのは秀でた才能ではなく決意だ。あくまで精一杯努力に裏づけられて初めて真の希望、つまり人生にほんとうの香りを添えてくれる希望が芽生える。バトル修道院に納められた割れたかぶとには、「希望は力なり」と刻まれている。これは万人が肝に銘ずる言葉であろう。

シラクの子イエスは「臆病者に災いあれ」と語っている。確かに、勇敢な心を持った人間ほど恵まれた者はない。たとえ努力が水泡に帰そうとも、ベストをつくしたと感じているならそれで満足できる。

数多の困難と忍耐強く闘って勝利を得た者や、足から血を流しからだの自由がきかなくなっても勇気という杖をついて歩きつづけたりする者を見るほど、われわれが励まされる美しい光景はない。

 - 5章 - 意志と活力