自助論 全エピソードまとめ

自らを律し、成功を勝ち取ってきたサッカー日本代表の本田圭佑選手。彼の愛読書であるサミュエル・スマイルズの自助論の全エピソードを掲載しています。

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金は″人格″をもって扱え

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●切っても切れないお金と人生について

金をどのように扱うか?どのようにして金を手に入れ、貯え、使うか?

これは、われわれが人生を生きぬく知恵を持っているかどうかの最大の試金石だ。もちろん、金を人間生活の第一の目的だなどと考えるべきではない。だが同時に、物質的安定や社会繁栄の大部分が金で支えられている事実を見ると、金など取るに足りないものだとはいえないし、聖人ぶって金を軽蔑するのも正しくない。

実際、人間のすぐれた資質のいくつかは、金の正しい使い方と密接な関係を持っている。寛容、誠実、自己犠牲などはもとより、倹約や将来への配慮というような現実的な美徳さえ、金とは切っても切れない仲にある。

その一方で、金もうけに血道をあげる人間には強欲やペテン、不正、利己心がつきものだ。また、金という天からの授かりものを乱用する連中は、浪費や不節制、明日をも知れぬ放蕩の深みにはまりこんでいく。つまり、悪徳もまた金のなせるわざなのだ。

『人生ノート』の中で、ヘンリー・テーラーは次のような至言を述べている。

金もうけや貯蓄、支出、金銭の授受や貸し借り、財産遺贈などが正しく行なわれているかどうかを見れば、その人の人格の完成度もおおよその見当がつくのである

世間的な意味での快適な生活を正当な手段によって追い求めるのは、決してまちがったことではない。快適な生活がもたらす物質的充足感は、人間性を向上させる保証となるし、生活に不自由がなければ家族も立派に養っていける。キリストの十二使徒の一人がいうように、家族すら満足に養えない者は「信仰なき者にも劣る」のだ。

しかも、人生の向上に資するようなチャンスをどう利用したかによって、世間がその人に抱く尊敬の程度は大いに左右される。だからわれわれは、快適な生活の追求に無関心ではいられない。

人生に成功し、何不足ない生活を手に入れようと努力することは、それ自体が一つの教育である。その努力は人間の自尊心をかきたて、実務能力を引き出し、忍耐や持久力という美徳を鍛え上げる。先見性があり注意深く心をくばる人間は、すぐれた思慮分別を持っているにちがいない。現在の生活のみにこだわることなく先を読んで未来に備える人間には、浅はかな考えの持ち主は一人もいないはずだ。

そのような人は節制にも心がけ、いかんなく克己心を発揮するだろう。この克己心という美徳ほど、人格形成に強い力を与えるものはない。

評論家ジョン・スターリングはこう述べている。

克己心を教えてくれる教育は、それが最悪のものであっても、克己心以外のすべてのことを教えてくれる最良の教育よりはるかにすぐれている

 - 7章 - 金の知恵