自助論 全エピソードまとめ

自らを律し、成功を勝ち取ってきたサッカー日本代表の本田圭佑選手。彼の愛読書であるサミュエル・スマイルズの自助論の全エピソードを掲載しています。

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正直はいつでも最良の策

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●誠実さと正直な心が成功の糧

古くから「正直は最良の策」といわれる。日々の生活経験からも、この格言の正しさは証明されている。何ごとにおいてもそうだが、ビジネスの場合も誠実さと正直な心が成功につながる

スコットランドの地質学者ヒュー・ミラーの伯父は立派な人物だったが、つねづねミラーにこう諭していた。

人と交際する時は、多少なりとも相手に得をさせるほうがよい。相手の便宜を計り、何でも十分に与え、決してもの惜しみをするな。そのほうが結局は自分の得になるのだから

ある有名なビール業者は、自分の成功はモルトを惜しまず使ったからだと述べている。彼は樽のところへ行って試し飲みをするたび、必ず「まだ水っぽいな。もっとモルトを混ぜろ」と職人に命じたという。彼の気前のよさがビールにも伝わったのか、そのビールはコクが増し、イギリスはもとより海外でも大評判となった。そして彼は莫大な財を手に入れたのである。

ビジネス上の取引においては、言行一致を基本にすえなくてはいけない。軍人には名誉が、クリスチャンには慈悲心が大切なように、商売人や製造業者にはこの言行一致が何よりも重要だ。

ビジネスほど、人柄の善し悪しがきびしく問われる分野はない。そこでは、正直かどうか、自己犠牲の精神にあふれているかどうか、公正かつ誠実に行動できるかどうか、などが厳格なふるいにかけられる。

このような試練にパスしたビジネスマンは、戦火の危険をくぐりぬけて自らの勇気を証明した兵士と同様、高い尊敬に値する。しかも、このような立派なビジネスマンの資格を備えている人間が数多くいることを、われわれは誇りにしなければならない。

考えてもみよう。わずかな給料でようやく生計を立てている人間にさえ、毎日巨額の金がまかされている。店員や仲買人や銀行員は、小細工をしようと思えばできるような現金をいつも扱っている。ところがそうした誘惑にもかかわらず、商売上の背信行為はきわめてまれなのだ。

自慢するほどではないにしろ、このような日々の正直な行ないこそ人間にとって何よりの名誉であることだけは認めなくてはならない。

 - 6章 - 時間の知恵