自助論 全エピソードまとめ

自らを律し、成功を勝ち取ってきたサッカー日本代表の本田圭佑選手。彼の愛読書であるサミュエル・スマイルズの自助論の全エピソードを掲載しています。

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千載一遇のめぐりあわせを生かす才知

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●いまは子供でも、やがて立派な大人になる:

アメリカの科学者であり政治家でもあるベンジャミン・フランクリンは、稲妻の正体が電気であることを実験で確かめた。だが、当時の人々は「いったいそれが何の役に立つのか?」とあざ笑った。そこで、フランクリンはこう答えた。

「子供が何の役に立つかとおっしゃるのですか?いまは子供でも、やがて立派な大人になるかもしれないではありませんか!」

イタリアの生理学者ガルバーニは、カエルの足を種類の違う金属に同時に接触させると筋肉がけいれんすることを発見した。だが当時、それはごくささいな事実であると見なされ、そこに電信技術の萌芽がふくまれていると想像しえた者はほとんどいなかった。

鉱坑から水を汲み上げたり、製粉機を動かしたり、工場で品物を作ったり、船や機関車を走らせたり ― これらには熱によって膨張させられた水滴の力、すなわち蒸気が利用されている。やかんの口から蒸気が吹き出すのは見慣れた光景だ。だが、精巧に作られたメカニズムの中でこの蒸気が使われると、何百万馬力にも匹敵するほどの大きな力を発揮する。

伝えるところによると、ロンドン塔に幽閉されていたウスターは、熱湯を入れた容器のふたが吹き飛ばされるのを目にして、偶然にも蒸気の力に着目しはじめたという。彼は自分の観察の結果を『発明の世紀(Century of Inventions)』という本にまとめて発表した。この本はしばらくの間、蒸気の力を研究する者の教科書とされたが、やがてセイバリーやニューコメンなどが蒸気の実用化をはかり蒸気機関を生み出していくことになる。

ニューコメンの蒸気機関はグラスゴー大学に保管されていたが、その修理を依頼されたのがワットであった。彼は、この偶然のめぐりあわせに千載一遇のチャンスとばかり飛びつき、一生をかけてより高性能の蒸気機関を完成させたのである。

 - 3章 - 人生の転機を生かす力