自助論 全エピソードまとめ

自らを律し、成功を勝ち取ってきたサッカー日本代表の本田圭佑選手。彼の愛読書であるサミュエル・スマイルズの自助論の全エピソードを掲載しています。

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地道に努力した人が最後に勝つ「方程式」

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●継続して努力することに勝る才覚はない

「ある少年と他の少年との差は、才能よりむしろ活動力の優劣によって決まる」とアーノルドは指摘したが、これは大人にも当てはまる。

ねばり強さや活力は、最初は他人から与えられたとしても、しだいに本人の習慣として身についていく。コツコツ努力する劣等生は、必ずやあきっぽい優等生を追いぬくだろう。遅くとも着実に歩む者が、競争では最後に勝つのだ。

学校での順位と実人生での順位が完全に入れ替わる例は多い。学生時代には実に頭の切れた生徒が、後には平凡な人生に埋もれてしまう。その一方で、何一つ期待すらされなかった劣等生が、着実に努力しつづけたおかげでやがては人の上に立つようになる。不思議な現象だが、その理由を解くカギは当人のねばり強さの差にある。

筆者の少年時代、同じクラスに劣等生の見本のような男がいた。教師は交代で彼の成績を上げようと手をつくしたが、まったく効き目がない。体罰を与えても、なだめてもすかしても、まるで通用しない。結局、教師はみなサジを投げ、その一人は彼を「途方もない大バカ者」とまで呼んだ。

ところがこの劣等生は、頭の回転こそ鈍かったが、愚直といえるほど同い意志力を備えていた。そして成長するにつれ、この長所がしだいに芽を伸ばしはじめた。やがて彼はビジネス界入りを果たすが、そのころにはかつての級友の大部分よりはるかにすぐれた人物として世間に名をとどろかせていた。その後、彼は郷里の市長として立派に活躍したという。

歩みののろいカメでも、正しい道さえ通れば、まちがった道を行く競争相手に勝つことができる。だから、熱心に努力さえしていれば、進歩が遅くとも気に病む必要はない。

若いころの利発さは、むしろ欠点にさえなりかねない。何でも手際よく覚える子供は、それだけもの忘れも早いし、忍耐や努力という資質をみがき上げようともしない。ところが実際には、忍耐と努力こそがすぐれた人格形成にいちばん大切な要素である。そしてあまり出来のよくない子供のほうが、かえってこの美徳を否が応でも身につけていく。

「今日の私を築き上げたのは、ひとえに自分自身の力である」とデイビーは語っているが、この言葉はまさに普遍の真理をいい当てているのではなかろうか。

 - 8章 - 自己修養