自助論 全エピソードまとめ

自らを律し、成功を勝ち取ってきたサッカー日本代表の本田圭佑選手。彼の愛読書であるサミュエル・スマイルズの自助論の全エピソードを掲載しています。

*

一見ありふれた現象からでも重大な意味を引き出す

LINEで送る
Pocket

●二千年の歳月を経て開く花もある

注意深い観察者は聡明な目でもものごとを見通すので、一見ありふれた現象からでも重大な意味を引き出す。

コロンブスは新大陸を発見しようと長い航海に出たが、めざす陸地はなかなか見つからない。水夫たちはしだいに不満をつのらせ、船内には険悪な空気が濃くなっていく。だがある日、コロンブスは船尾のあたりに海草が漂っているのに気づいた。これは、近くに陸地がある証拠だ。彼はこのちっぽけな海草のおかげで、探し求めていた新大陸の近いことを乗組員たちに確信させ、暴動を寸前のところでくい止めたのである。

このように取るに足りないちっぽけなことでも、それが実際には大いに役立つ場合が多い。だから、ビジネスにおいても芸術や科学においても、また他のどんな分野でも、ささいな事物を細かく観察するのが成功の秘訣なのである。

人間の知識は、小さな事実の蓄積に他ならない。幾世代にもわたって、人間はこまごました知識を積み重ねてきた。そうした知識や経験の断片が集まって、やがては巨大なピラミッドを築き上げる。

最初はさしたる重要性も持たないと思われたことが、後に大きな役割を果たすようになる場合も多い。

たとえば、古来多くの数学者たちは、線や面に関する抽象的な理論を確立するために骨を折ってきた。浅薄な人間の目には、そんな研究はまったく無益なしろものだと映るかもしれない。だが彼らの営々たる努力がなければ、現代の発明はほとんど何一つとして日の目を見なかったにちがいない。

 - 3章 - 人生の転機を生かす力