自助論 全エピソードまとめ

自らを律し、成功を勝ち取ってきたサッカー日本代表の本田圭佑選手。彼の愛読書であるサミュエル・スマイルズの自助論の全エピソードを掲載しています。

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「巨人」への心酔が自らの才能を呼び起こす

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●才能は才能を高める

芸術家も、自分よりすぐれた才能の持ち主に触発されて才能を高めていく。

たとえば、ハイドンの天才的資質はヘンデルによって初めてかき立てられたといつても過言ではない。ヘンデルの作品が演奏されるのを聞いて、ハイドンは作曲への情熱を燃え上がらせた。ハイドン自身がいうように、この出会いがなければ彼のオラトリオ「天地創造」は日の日を見なかったにちがいない。ハイドンはヘンデルについて、「いったん曲想を決めたら、あとは稲妻のごとく突進していく人だ」と述べている。

また別の機会には「彼のどのメロディを聞いても、私は血の気が引くほどゾクゾクさせられる」とまで語った。

作曲家スカルラッティは熱心なハイドンの信奉者で、彼のあとを追いかけイタリア全土を回っている。後年になっても、この巨匠の思い出を語る時は称賛の気持ちを示すため、十字を切ったほどだ。

真の芸術家はまた、互いの偉大さを率直に認め合う。ベートーベンはケルビーニの音楽性を誰はばかることなく絶賛し、シューベルトの天賦のオについても熱烈な賛辞を送った。「まったくのところ、シューベルトの中には神の炎が宿っている」とベートーベンは語っている。

美術の分野でも、たとえばノースコートは若いころレーノルズに心服していた。ある時この偉大な画家が公開の集まりに出席すると、ノースコートは群衆をかきわけ、その着物のすそにふれんばかりのところまで近づいた。後にノースコートは、「レーノルズ先生の服にさわった時は、もう飛び上がらんばかりの喜びでした」と述べた。

天才に対する若者の熱狂的なあこがれの気持ちが、この一言にいかんなく表わされている。

 - 9章 - 素晴らしい出会い - 人生の師・人生の友・人生の書