自助論 全エピソードまとめ

自らを律し、成功を勝ち取ってきたサッカー日本代表の本田圭佑選手。彼の愛読書であるサミュエル・スマイルズの自助論の全エピソードを掲載しています。

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後世への「たいまつ」となる勇気ある人生

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新しい本を初めて読むより、古い本をくりかえし読め

伝記が役に立つのは、立派な人格の手本が豊富に盛りこまれているためだ。偉大な先人たちは、その生活の記録を通じてわれわれの心によみがえり、その行ないは現代に生きつづけている。過去の偉人はいまなお、われわれの机のそばに腰をかけ、この手を握りしめる。

彼らが与えてくれる有益な手本を、われわれは学び、称賛し、見習うべきなのだ。

過去の偉人は、気高い人生の記録を遺産として後世に残したが、それは美徳と幸福のつきせぬ泉である。なぜなら、それらの記録は子孫の自己形成にとってはすぐれた模範であり、現代人の心に新しい生命を吹きこみ、生活の再出発と人間性の変革を助けているからだ。

真の人生を生きた人間の伝記には、現代にも実を結ぶ貴重な種子がぎっしり詰まっている。このような伝記は真実の声であり、現代に生きる英知だ。詩人ミルトンの言葉を借りれば、それは「巨匠の精神に脈打つ血液」に他ならない。

すぐれた人物伝を読めば、どんな人でも精神がいっそう豊かになり、何かの決断をするにも心が励まされる。このような伝記は人間の無限の可能性を実証しているので、読者は自立心をかき立てられ、人生における望みや目標も高く堅固なものになっていく。

とくに若者は、伝記の中に自らの姿を見出す場合がある。

たとえば、刑法改革に尽力したサミュエル・ロミリーは、フランスの大法官ダゲソーの生涯を書物で読み、深く感動した。

「彼のたどった栄光の人生を知って、私の情熱と野心は大きく燃え上がった。そして私自身、新たな栄光への道を心に思い描くようになった」と彼は語っている。

フランクリンも若いころ、宗教家コトン・マザーの自伝的書物『善をなすための随想集』に感銘を受けた。「自分が人の役に立ち名声を得たのも、この本と出合ったおかげだ」と後年のフランクリンはくりかえし述べている。

このように、よい手本は人々を引きつけ、将来をになう世代へ伝えられていく。したがって書を読む場合も、交友関係と同じように良書にふれ、その最良の部分を見習うことが大切だ。この点についてダドリーは次のように語る。

「私はすぐれた書物しか読みたくない。すぐれた書物とは、主に昔から愛読してきた本だ。私はこの古い顔なじみともっと親密になりたいと願っている。新しい本を初めて読むより、古い本をくりかえし読むほうがよほど得るところは大きいはずだ

 - 9章 - 素晴らしい出会い - 人生の師・人生の友・人生の書