自助論 全エピソードまとめ

自らを律し、成功を勝ち取ってきたサッカー日本代表の本田圭佑選手。彼の愛読書であるサミュエル・スマイルズの自助論の全エピソードを掲載しています。

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一枚の小銭が将来の不安を吹き飛ばす

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●勤勉と倹約の価値

勤勉と倹約に励むだけで、自活の道は開ける。いかに生活がきびしくとも、つつましく暮らし不要な支出を抑えれば、何とか生計のメドは立つものだ。

一枚のペニー銅貨には、さしたる価値などない。だが、快適な家庭生活を送れるかどうかは、この銅貨の使い方と貯え方いかんにかかっている。

せっかくの重労働で貴重な報酬を得ても、酒代やあれこれのムダ遣いに1ペニー、また1ペニーと消えるのを見すごしていては、野獣同然の生活から抜け出せない。逆に、家計の維持や家族の教育を念頭に置き、はした金でも保険や貯蓄に回すように心がければ、その見返りははかりしれない。資産は増え、生活は向上し、将来への不安の大部分は吹き飛んでしまうだろう。

職業には、貴賤の区別などない。土を耕す仕事も道具作りも、機織りも店員も、みな立派な職業だ。「まともな仕事を持っていれば、恥入る必要などない。正業に就いていない人間こそが恥を知るべきなのだ」とフラーは述べている。また、ホール主教は「額に汗する仕事にせよ頭を使う仕事にせよ、とにかく働けばそれ相応の報いはある」と語った。

たとえ世間から低く見られるような職業に就いていたとしても、そこから身を起こして大成したのであれば、何ら恥ずかしい思いをする必要はない。むしろ、困難を乗り越えて現在の地位に達したことを誇りにすべきだ。あるアメリカの大統領は、「家紋は何か」とたずねられたとき、若いころ木こりをやっていたのを思い出して「シャツの両袖ですよ」と答えたという。

ニームのフレシエ主教も、かつてはローソクの製造職人だつた。ある医者がそのことで主教をからかつたところ、彼はこういい返した。「あなたが私と同じ境遇に生まれたとしたら、いまでも一介のローソク職人を続けているでしょうね」

 - 7章 - 金の知恵