自助論 全エピソードまとめ

自らを律し、成功を勝ち取ってきたサッカー日本代表の本田圭佑選手。彼の愛読書であるサミュエル・スマイルズの自助論の全エピソードを掲載しています。

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勤勉と努力がすばらしい成果を生み出す

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●天才と凡人の差は紙一重だ

一心不乱に勉学に励み、不屈の努力を続けていけば、驚くべき成果を上げることができる。天賦の才を、世に秀でた人物の多くが一般に思われているほど特別な資質だと考えていないのもそのためである。

たとえば、フランスの思想家ボルテールは「天才と凡人の差は紙一重だ」と述べた。イタリアの法学者ベッカリーアは、「誰でも詩を書いたり雄弁に演説したりする才能を持ち合わせている」と断言した。同じように、画家レーノルズは「どんな人間でも画家や彫刻家になれるはずだ」と主張する。

さらに高名な哲学者たち、すなわちロックやエルベシウス、ディドロの説によれば「すべての人間はその天分において平等である。だから、ある人間にできることは、同じような環境に置かれ同じ目的を追求したとすれば、他の人間にも実現できることなのだ」という。

もちろん、生まれついての非凡な能力なしには、いくら努力を積み重ねても第二のシェークスピアやニュートン、ベートーベン、そしてミケランジェロは生まれてこないだろう。だが、いずれにせよ、勤勉と努力がすばらしい成果を生み出すことはまちがいない。しかも天才と称賛される人物ほど、必ずといっていいくらいねばり強い努力家なのである。

●ゆっくり歩む者のほうが、息長く遠いところまで進んでいける

物理学者ドールトンは、世間から天才と呼ばれることに反発し、自分の業績はすべて勤勉と努力の積み重ねのたまものだと主張した。

解剖学者ジョン・ハンターも、自らを評してこう語る。

「私の精神はハチの巣に似ている。騒がしく雑然としているように見えて、実は秩序と規則によってすみずみまで支配されている。そして不断の努力の結果、自然の宝庫から知識という食物が集められるのだ」

偉人の伝記をほんのわずかひもといただけで、われわれは猛省を促されるにちがいない。発明家や芸術家、思想家、その他あらゆる分野で名を成した人間は、倦(う)むことを知らない勤勉と努力によって成功を勝ち得ている。そして彼らは、この世のありとあらゆるもの ― たとえば時間さえも黄金に変えてしまう。

著作家ディズレーリは「成功の秘訣は、自らの直面している問題をマスターすることにある。そのためには勉学に熱中しなくてはならない」と説いた。

実際、世界に多大なる影響を与えた人間を見ても、厳密な意味での天才、すなわち生まれつき聡明で輝かしい素質を備えた人物は数少ない。むしろ、並の能力にもかかわらず、ねばり強く努力と研究を重ねた末に名声を得た者のほうが多い。

いくら才気あふれた人間でも、移り気で忍耐力に欠けていれば、才能に恵まれなくともひたすら努力する人間には負けてしまう。イタリアのことわざ通り「ゆっくり歩む者のほうが、息長く遠いところまで進んでいける」のである。

 - 2章 - 忍耐 努力が苦でなくなる法