自助論 全エピソードまとめ

自らを律し、成功を勝ち取ってきたサッカー日本代表の本田圭佑選手。彼の愛読書であるサミュエル・スマイルズの自助論の全エピソードを掲載しています。

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回り道の旅が真の喜びをもたらす

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●有能な人間になるには実践が欠かせない

ビジネスの成功へ至る道は、同時に常識を身につける道でもある。ここでも知識の獲得や科学研究と同じように、ねばり強い努力や勤勉が欠かせない。

ギリシアの古い格言に「いかなる職業でも、有能な人間になるには次の三つが欠かせない。それは天性と勉強、そして実践」というのがある。ビジネスでは、頭を使い熱心に実践していくことが成功の秘訣だ。時には「まぐれ当たり」もあるだろうが、それはギャンブルでもうけたあぶく銭のように人間を惑わせ、破滅させるのがオチである。

ベーコンはしばしば、ビジネスを道にたとえてこう語った。

最短の道はたいていの場合、いちばん悪い道だ。だから最善の道を通りたければ、多少なりとも回り道をしなくてはならない

回り道の旅は、確かに時間も余計にかかるだろう。だが、苦労の末に大きな成果にたどりつけば、その時こそほんものの喜びを得られるにちがいない。どんなにありきたりでつまらないことでも、決められた仕事をきちんとこなしていけば、残りの人生はその分いっそうすばらしいものになるのである。

不死を得るため十二の難業に挑んだヘラクレスの寓話は、あらゆる人間の行動の手本である。とくに若者は、人生の幸福や繁栄が他人の助力や後ろ立てではなく自分自身の力によって勝ち取られることを、しっかり自覚しなければいけない。

詩人ムーアがジョン・ラッセルを仲介人にして、メルボーンに自分の息子への援助を願い出たときの話だ。メルボーンはラッセルに宛てた返書の中で、実に有益な忠告を与えている。

「親愛なるジョンへ。ムーア氏からの手紙はお返ししよう。人助けをするくらいの資力はあるのだから、私としても君の願いをかなえるにやぶさかではない。だが援助をするというのなら、ムーア氏自身に対してのほうが筋が通っている、と私は思うのだ。彼の息子のような若者にわずかばかりの援助を与えるというのは、どう考えても正しいやり方ではない。むしろ、当の若者に誤った考えさえ抱かせてしまうだろう。実際よりも多くのものを持っていると思いこめば、若者は決まって努力をしなくなる。だから彼らには、こう助言しておけば十分だ。”自分の道は自分で切り拓け。飢えようと飢えまいと、すべては自分自身の努力にかかっている ”――私のいう ことを信じてくれたまえ…」

 - 6章 - 時間の知恵