自助論 全エピソードまとめ

自らを律し、成功を勝ち取ってきたサッカー日本代表の本田圭佑選手。彼の愛読書であるサミュエル・スマイルズの自助論の全エピソードを掲載しています。

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若いときのツケは必ず老年にまわってくる

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●道楽に耽った若者は、骨まで腐りきった大人になる

ほどほどの気晴らしや娯楽は、健康にもよいのでぜひお勧めしたい。だが、それも度が過ぎると人間性全体を破壊する恐れがある。

よく遊びよく学べ」という格言がしばしば引用されるが、遊んでばかりいてちっとも学ばなければ、人間はますますダメになる。快楽にひたり切ることほど若者に有害なものはない。若者らしいすぐれた資質は損なわれ、ふつうの楽しみが味気なく感じられ、高い精神的な楽しみを追求する気持ちが失われる。そして労働や義務を果たさなければいけない場面でも、反感や嫌悪しか感じられなくなってしまう。

快楽にひたる放蕩な人間は、生命の力をムダに使いはたし、真の幸福の源泉を干上がらせる。いくらわがもの顔にこの世の春を謳歌しても、結局それは人格や知性の健全な発展にはつながらない。青春時代をふしだらに過ごし、貴重な時間を浪費した人間の姿は、大人びた子供や純潔を失った乙女や嘘つきの少年を見るよりも哀れをさそう。

フランス革命を指導した雄弁な政治家ミラボーでさえ、自分自身についてこう語っている。

「若いころの放蕩生活が、その後の生涯からかけがえのないものを奪ってしまった。私の生命力の大部分は、青春期に浪費されたのだ」

今日誰かに悪さをすれば、明日そのツケは自分にまわってくる。同じように、青春期に罪を犯せば、大人になって必ずしっぺ返しを受ける。ベーコンは「若いころの無茶や行き過ぎは、年をとると堪えてくるものだ」と語ったが、この言葉は肉体面はもとより精神面についても当てはまる。イタリアの風刺詩人ジューステイは、友人の一人に次のように書き送っている。

「正直なところ、僕は生きていくために重い犠牲を強いられている。人生が自分の思う通りになるなんて考えるのは間違いだ。最初のうち自分の人生がタダで与えられたような気になっていても、しばらくするとちゃんとその分の請求書が送られてくるのだから

若い時代の不品行のいちばんの害は、健康を破壊することより、むしろ人間性を穢すことにある。道楽にふけった若者は、骨まで腐りきった大人になる。いったんそうなると、いくら望んでも高潔な人間にはなかなか戻れない。もしも何か治療法があるとすれば、それは、若者に義務の心を植えつけ、有意義な仕事に熱心に励ませることだけだ。

 - 8章 - 自己修養