自助論 全エピソードまとめ

自らを律し、成功を勝ち取ってきたサッカー日本代表の本田圭佑選手。彼の愛読書であるサミュエル・スマイルズの自助論の全エピソードを掲載しています。

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ほんとうの勇気は常にやさしさと共にある

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誠実こそが人生の栄冠

真の人格者は、人一倍の誠実さを身につけている。

というのも、誠実こそが人生の栄冠であり、人の世における正義もそこから生まれることを、はっきり理解しているからだ。チェスタフィールドは「君子の成功は誠実さによって築かれる」とまで断言している。

真の勇気とやさしさは、共に手を携えて進んでいく。勇敢な人間は、度量が広く寛大である。寛容の心に欠け、平気で残忍な行為をするのは、真の勇気とはいえない。有名な航海家ジョン・フランクリンについて、友人のパリーはこう述べている。

「彼は、決して危険に背をそむけるような人間ではない。にもかかわらず、一匹の蚊でさえ払いのけられないようなやさしい面もあった」

このパリーの言葉には、勇者の真の姿がみごとに浮きぼりにされている。

いま一つの例を付け加えよう。それは、半島戦争中にフランスのネー将軍が見せた高潔で思いやりあふれる行為である。当時、この戦争に参加していたチャールズ・ネーピアがコルーナの戦いで重傷を負い、フランス軍の捕虜となった。安否を気づかったネーピアの友人は特使を派遣し、ネー将軍に捕虜との面会を求めた。それを許可した将軍は、部下のクルーエ男爵にこう命じた。

「ネービア卿を特使に会わせて、体調もよく、ここでの待遇も申し分ないことを自分の口から伝えさせなさい」

ところがクルーエ男爵は、その命令を聞いてもすぐに部屋から出て行こうとはしない。そこで将軍は笑いながらたずねた。

「ネービア卿には他にも望みがあるのかね?」

「実は、郷里に年老いた目の不自由な母がいるのだそうです」

「それはほんとうか?それならすぐに釈放しよう。元気な声を聞かせてやるのがいちばんだ」

当時は、国と国との間の捕虜交換は許されていなかった。ネー将軍にしても、ネービアの釈放がナポレオンを立腹させるかもしれないとの危惧は抱いていた。にもかかわらず将軍は、母の身を案ずる若きイギリス将校を自由の身にするという英断を下した。そしてナポレオンも、この寛大な措置には賛意を示したといわれている。

 - 10章 - 信頼される人 - 人格は一生通用する最高の宝だ!