自助論 全エピソードまとめ

自らを律し、成功を勝ち取ってきたサッカー日本代表の本田圭佑選手。彼の愛読書であるサミュエル・スマイルズの自助論の全エピソードを掲載しています。

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努力は途切れることなく引き継がれる

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●努力はとぎれることなく引き継がれる:

どんな国家であれ、幾世代にわたる人間の思想や活動の蓄積を経て、現在の姿に発展してきた。社会の階層や生活の状態にかかわらず、たゆまず黙々と働いてきた人は多い。土を耕す者、鉱山を掘るもの、発明家、探検家、製造業者、職人、詩人、哲学者、そして政治家・・・・・。彼らの貢献によって偉大な成果が生み出され、しかもその成果は世代を超えて伝えられながら、いっそうの発展を遂げていく。

このように、「文明を創り出す名工」と呼ぶにふさわしい人々の努力は、とぎれることなく引き継がれる。そのおかげで、カオス(混沌)に支配された世界から、すぐれた産業や科学、そして芸術が生み出されてきた。

その意味で現代の人間は、祖先の技術や勤勉によってもたらされた豊かな財産の後継者なのである。そして、われわれはこの財産を、損なうことなく自らの責任において守り育て、次代の人々に手渡していかねばならない。

自助の精神はエネルギッシュに活動する人間に見られる特徴だが、それはまた常にわれわれイギリス全体のすぐれた国民性でもあった。自助の精神がその国民全体の特質となっているかどうかが、一国の力を見るときの正しい尺度となる。

確かにどんな場合にも、他より抜きんでた力を発揮して人の上に立ち、世間の尊敬を一身に集める人物はいるものだ。だが、それほどの力を持たず名も知られていない多くの人たちでさえ、社会の進歩には重要な役割を果たしている。

たとえば、歴史上の大きな戦役で名を残すのは将軍だけだ。しかし実際には、無数の一兵卒の勇気あふれた英雄的な行動なしに勝利は勝ち取れなかったはずだ。人生もまた戦いに他ならない。そこでも無名の兵士が実に偉大な働きをしてきた。伝記に名を残した幸運な偉人と同じように、歴史から忘れ去られた多くの人物が文明と社会の進歩に多大な影響を与えている。

大切なのは一生懸命働いて節制に努め、人生の目的をまじめに追求していくことだ。それを周囲に身をもって示している人間は多い。彼らは、地位や力がどんなに取るに足りないものだとしても、現代はもとより将来の社会の繁栄に大きく寄与している。

というのも、彼らの生活や人生観は、意識するしないにかかわらず周りの人間の生活に浸透し、次代の理想的な人間像として広まっていくからだ。

 

 - 1章 - 自助の精神