自助論 全エピソードまとめ

自らを律し、成功を勝ち取ってきたサッカー日本代表の本田圭佑選手。彼の愛読書であるサミュエル・スマイルズの自助論の全エピソードを掲載しています。

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「無心のままに頭が働き、手が動く」姿勢こそが成功の条件

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●ミケランジェロが成功出来た理由は「無心の熱中」

ミケランジェロは努力の大切さを固く信じていた。心の動きに従って自在にノミを操れるまで修練を積めば、頭に浮かんだいかなる構想でも大理石にそのまま表現できるようになる、と彼は主張した。

ミケランジェロは、疲れの色も見せず創作に熱中するタイプの人間だった。彼は同世代の芸術家の誰よりも長い時間を仕事に費やしたが、それができたのも彼自身の質素な生活習慣のおかげである。

ほとんど一日中製作に携わっているミケランジェロが必要としたのは、一切れのパンとグラス一杯のワインだけだった。床に就いても、たいていは夜中に起き出して、仕事の続きに取りかかった。そのときには、厚紙で作った帽子にローソクを立てて火をともし、その帽子をかぶって彫像を照らしながらノミをふるった。疲れはてると服を着たまま眠り、疲労がとれるとすぐさま仕事に戻った。

ミケランジェロのお気に入りの作品の一つに、砂時計を持った老人が手押し車に乗っている像があるが、その砂時計には「私はいまでも学びつづける」という碑文が刻みこまれている。

芸術家の偉大な作品を見ても、そこに忍耐強い努力と長年の修業の跡を感じ取れる人間は少ない。確かにそれらの作品は、いとも簡単にごく短い期間で作られたように思える。だがその陰には、想像を絶するほどの作者の苦しみが横たわっているのだ。

ある時、ベネチアの貴族がミケランジェロに自分の胸像を依頼した。彼は十日でその像を作り上げ、代金として金貨五十枚を請求した。貴族は「たかだか十日で仕上げた作品にしては法外な代金だ」と抗議した。だが、ミケランジェロはこう答えた。

「あなたはお忘れになっているのですよ。胸像を十日で作り上げられるようになるまでに、私が三十年間修業を積んできたということを」

彼のこのような姿勢の中にこそ、芸術はもとより人生そのものにおける成功の条件が隠されているのではなかろうか。

 - 4章 - 仕事