自助論 全エピソードまとめ

自らを律し、成功を勝ち取ってきたサッカー日本代表の本田圭佑選手。彼の愛読書であるサミュエル・スマイルズの自助論の全エピソードを掲載しています。

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分をわきまえた生活の快適さ

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人は誰でも、分相応の暮らしをするよう工夫しなければならない。それは誠実な生き方の証でもある。分をわきまえた生活にあきたらなくなった人間は、必ず他人の力を当てにしはじめ、不正に手を染めるようになる。

そして出費にはいっこうに無頓着で、他人の迷惑など顧みず自己満足だけを追い求めていく。彼らは、手遅れになるまで金のありがたみにはまったく気づかないのだ。

生まれつき気前がよすぎるにせよ、倹約心のない人間は結局のところ落ちぶれる。彼らは、時間も金も同じように浪費する。将来のはっきりしない稼ぎを当てにして約束手形を乱発し、そのうちに借金や義務をしこたま背負いこんで身動きがとれなくなる。

「節約が必要になったら、わずかずつでも貯蓄をすべきだ。品性を落としてまでケチな金もうけをしようなどと考えてはならない」

これはベーコンの処世訓である。実際、手もとの金をまったくムダに投げ捨てている人間は多い。だが、わずかな金でもそれを正しく使えば、どれほどの財が生まれ、どんなにか自活の糧となることだろう。

浪費家は往々にして、「うだつが上がらないのは世の中が不公平だからだ」などと不満をぶちまける。だが、彼らのほんとうの敵は世間ではなく自分自身の中にいる。自分自身すら味方にできない人間に、誰があえて手を差し伸べたりするだろうか?

とはいっても、ケチケチしすぎるのもまた考えものだ。しみったれで了見の狭い人間は、生活でもビジネスでも先を見通せず、結局は失敗する。よくいわれるように、1ペニーの値打ちしかない人間は、とうてい2ペンスの価値ある人間にはなれない。正直が最良の策であるように、寛容と気前よさもまた人生を生きるための最良の策といえるだろう。

 - 7章 - 金の知恵