自助論 全エピソードまとめ

自らを律し、成功を勝ち取ってきたサッカー日本代表の本田圭佑選手。彼の愛読書であるサミュエル・スマイルズの自助論の全エピソードを掲載しています。

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会う人全てを魅了する人柄の秘密

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●人格を磨くことの大切さ

教養や能力に乏しく財産の少ない人間でも、立派な人格さえ持ち合わせていれば他人に大きな影響を与えられる。たとえそれが一介の労働者であろうと、議員のような要職に就いていようと、事情は変わらない。政治家カニングはこう述べた。

私は、何よりも人格の陶冶を通じて力を獲得したい。それはてっとり早い方法ではないにしろ、いちばん確実な道だ。私はそれを信じて疑わない

知性あふれる人間を尊敬するのはいっこうにかまわない。だが知性以上の何かがなければ、彼らを信用するのは早計に過ぎる。政治家ジョン・ラッセルはかつてこう語ったことがある。

「わが国では、いくら天才に援助を求めることがあっても、結局は人格者の指導に従うのが当然の道とされている

これは真理をいい得た言葉である。

フランシス・ホーナーの生涯にはその真理が如実に示されている。スコットランドの判事コックバーンは、ホーナーの人生について次のように語っている。

「彼の歩みは、誠実な若者すべての心に光明を投げかけずにはおかない。彼はわずか三十八歳で世を去ったが、誰よりも広く人々を感化した。冷酷で心の卑しい連中を別とすれば、万人が彼を敬愛し、信頼し、その死を嘆き悲しんだ。

いま私は、あらゆる若者にたずねよう。なぜ、ホーナーはこれほどまで高い尊敬を受けたのか?

身分のためか?彼はエジンバラの商人の息子でしかなかった。富のためか?彼にしろ、その親戚縁者にしろ、余分に使える金などほとんど持っていなかった。役職のためか? 彼はわずか二、三年間、何の影響力もない薄給の職に就いていたにすぎない。雄弁のためか?彼の語り口は静かで気品はあったが、人を驚かせたり引きつけたりするほど弁舌さわやかだったわけではない。身のこなしに人をうっとりさせる魅力があったためか? 彼のものごしは世人のそれと少しも変わらぬ穏やかなものだった。

では、ホーナーが人々の尊敬を集めたのはなぜか?それは、彼が良識と熱意と正しい信条と善良な心―― つまり、まともな人間なら誰でもさほど苦労せずに手に入れられるような資質をしっかり身につけていたためだ。いいかえれば、人柄の持つ力が彼を高めたのだ。しかも、この人柄は生まれつきのものではなく、ありきたりの素質から彼自身が努力して築き上げてきた産物なのである。

能力や弁舌の才だけを見れば、彼をしのぐ人間は多い。だが、それらのオ能に人格を加味した時、彼の上に出るものは一人としていない。平凡な能力しかなくても善良さを失わず修養に励めば、たとえ競争心と嫉妬の渦まく社会にあっても必ず大きな業績を勝ち取れる。ホーナーは、そのことを証明するために生まれてきたような人物なのだ」

 - 10章 - 信頼される人 - 人格は一生通用する最高の宝だ!