自助論 全エピソードまとめ

自らを律し、成功を勝ち取ってきたサッカー日本代表の本田圭佑選手。彼の愛読書であるサミュエル・スマイルズの自助論の全エピソードを掲載しています。

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優柔不断が”再起不能”の破滅を招く

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 ●他人からも後ろ指をさされない″人間になる

チャールズ・ネービアは、英領インド軍総司令官の職を離れるにあたって、将兵たちに訓示を残した。そこでは、放埒な生活にふけり、不名誉な借金に苦しんでいる若い将校たちを大胆率直に批判している。『インド軍将校への一般命令』と呼ばれるこの文書で、ネーピアは次のように述べている。

誠実さは、教養ある紳士の品性と切り離せない。ツケでシャンペンやビールを飲み、ツケで馬車に乗るのは、紳士とは無縁のペテン師のやることだ。

将校の中には、分不相応な贅沢な生活のために借金を重ね、果ては自分の使用人から裁判所に訴えられる者すらいる。こんな連中は、身分は将校でも断じて紳士とはいえない。戦うだけが将校の役目ではない。戦うだけならブルドッグにもできるのだ。

約束を守っているか? 借金をきちんと返済しているか?これは名誉の問題だ。諸君が″恐れを知らない″軍人であるのはよくわかっている。だが同時に、″他人からも後ろ指をさされない″人間になるよう切に望みたい。

若く勇敢な将校は、降りそそぐ弾丸の雨の中を突進して大武勲をあげる力なら持っている。そのくせ、欲情をそそるようなつまらぬ誘惑を拒絶する精神力や勇気には欠けているのだ。また彼らには、生きて辱めを受けるより死を選ぶ潔さはある。それでいながら、快楽や肉欲の魔の手をきっぱりはねのけることすらできない

若者が人生を歩む時、その道の両側には幾多の誘惑が長い列をつくって待ち受けている。彼はその中を押しわけて進むが、誘惑に負けたら最後、堕落は必至である。若者の肉体は天賦の力で満ちているけれども、ひとたび誘惑にふれると、その力は失われる

誘惑を拒絶するただ一つの方法は、きっぱり「いやだ」と意思表示し、その言葉通りにふるまうことだ。誘惑にいい寄られたら、その場で決断すべきである。あれこれの理由をハカリにかけて「どちらを選んだらいいか」などとウジウジ迷っていてはダメだ。これは若者の場合にも当てはまる。実際、ぐずぐず迷って決断の機を失う人間は多い。

誘惑が訪れるのは、若者の力を試すためだ。一度でも誘惑に用すると、若者の力はどんどん弱まり、大切な美徳も次々と奪われる。

だから、誘惑は断固として拒絶すべきだ。決断の第一歩が踏み出せれば、人生を生きぬく大きな力が湧いてくる。この決断は、何度もくりかえすうちに、習慣となって必ず身につくだろう。

人生の若い時期に得た習慣は、悪に対する真の防波堤となる。なぜなら、人間が品行方正になるのは習慣を通じてであり、モラルが損なわれないよう守ってくれるのもまた習慣の力なのだ。

よい習慣が日常生活のすみずみにまで行き渡れば、その人間のふるまいは一段と立派なものに変わっていくにちがいない。

 - 7章 - 金の知恵