自助論 全エピソードまとめ

自らを律し、成功を勝ち取ってきたサッカー日本代表の本田圭佑選手。彼の愛読書であるサミュエル・スマイルズの自助論の全エピソードを掲載しています。

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恵みの雨は正直者の上に降りそそぐ

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高潔な人間が勇気を持って自分の道を突き進めば、必ず成功は訪れる

いつの時代もそうだったように現在でも、日に余る不正やペテンは決してなくならない。これは、良心のかけらも持ち合わせない許欺師や、金持ちになろうとあせっている欲張りどものしわざである。

商品に混ぜものをする商人や、仕事を手抜きする請負業者は多い。純毛や純綿だと偽ってニセモノを売りつけたり、糸を通す穴さえ開いていない針や、ちっとも切れないカミソリのようなまがいものを平気で市場に出したりする業者は、残念ながら後を絶たない。

だがこのような詐欺商法は、心のさもしい欲張り連中のやる例外的なケースと考えたほうがよい。彼らは確かに富は得るかもしれない。だが、その富を楽しめはしない。心の平安がなければ富など一文の値打ちすら持たない。正直という人格を捨てた彼らには、心の平安が訪れることは決してないのだ。

ラチマー主教は、ある刃物師から一ペニーの価値もないナイフを二ペンスで売りつけられた時、「あの悪党は、私を欺いたのではなく自分自身の良心を欺いたのだ」と語ったという。押し売りやペテンでだまし取った金は、浅はかな連中の目をしばらくは楽しませるかもしれない。だが破廉恥なゴロツキどもの得た富など、結局はシャボン玉のように消えてなくなってしまうものなのだ。

勤勉実直な人間は、無節操な連中ほど早く財を成したりはできないかもしれない。だが、インチキや不正な手段を弄せず良心を貫いて得た成功は、ほんものの成功である。

いっとき成功から見離されたとしても誠実さだけは守り通さねばならない。品性を堕落させるくらいなら全財産を失うほうがまだましである。なぜなら、品性はそれ自体がすぐれた財産だから――。

高潔な人間が勇気を持って自分の道を突き進めば、必ず成功は訪れ、人間として最高の報酬を受けるにちがいない。

詩人ワーズワースは、人生の戦いにおける「幸福な戦士」の姿を次のようにみごとに謳いあげている。

彼は自分の望むところを知り

一つの目標を信じて疑わない

富や名誉や世俗の地位を求めて

膝を屈し身をかがめようとはしない

これらの徳はおのずと彼にもたらされる

まるで恵みの雨が頭上に降りそそぐように

 - 6章 - 時間の知恵