自助論 全エピソードまとめ

自らを律し、成功を勝ち取ってきたサッカー日本代表の本田圭佑選手。彼の愛読書であるサミュエル・スマイルズの自助論の全エピソードを掲載しています。

*

信念は努力を無駄に終わらせない

LINEで送る
Pocket

●他人の評価などどうでもよい、自分に打ち勝つ

偉人の中には、世間からなかなか認められず辛酸をなめた経験を持つ者も多い。

だが真にすぐれた人間は、他人の評価などにあまり重きを置かない。自分の本分を誠心誠意果たして良心が満足すれば、それが彼らにとっては無上の喜びとなるのだ。

ウィリアム・ハーベーは、血液が体内を循環しているという事実を最初に発見した医師である。彼はその説を公表するまでに八年以上も研究を続け、慎重に実験をくりかえして自らの発見の正しさを確かめた。というのも、その説は当時の学界から猛反対を受けると予測されたからだ。

そして、ハーベーはいよいよ自分の発見を一冊の本として公表する。その論文は表現こそ穏やかだが、論旨は単純明快で説得力にあふれていた。しかしながら、彼を待ち受けていたのは嘲笑の声だけだった。彼の説は気の違ったペテン師のたわごととして片付けられたのである。

しばらくの間、ハーベーの説を支持する者は一人も現われなかった。彼の耳に届いたのは侮辱と軽蔑の言葉だけだった。彼は従来の尊敬すべき医学の権威に疑問を投げかけた不埒(ふらち)な人物と見なされ、その説は、聖書の威信を破壊し、道徳と宗教の根底そのものをくつがえすものだとまでこきおろされた。

ハーベーは、医者の仕事も思うにまかせなくなった。友人たちも、そのほとんどが彼のもとを去っていった。その後数年を経て、思慮分別のある人の間に彼の説は徐々に受け入れられはじめた。だが、科学的に実証された心理として血液の循環が一般に認められるまでには、なお二十五年の歳月を待たなければならなかったのである。

 - 3章 - 人生の転機を生かす力